移動販売には色々な種類があります。
クレープ、ケバブ、たこ焼き、パン、コーヒー・・・等々。
今回は、移動販売の『スーパー』にスポットを当ててみたいと思います。
移動販売のスーパーは、現在日本社会が抱える問題に密接に関係しています。
なぜかと言いますと・・・。
現在の日本は、高齢化社会を迎え高齢者の人口が増えてきています。
そんな中『買い物難民』という言葉をニュースで耳にした方も多いのではないでしょうか?
買い物難民とは、その地域に住む住民の近くに、スーパーなどがなく、食糧や生活用品を買うことが出来ない状態のことを言います。
そこで活躍するのが『移動販売スーパー』。
買い物難民、買い物弱者の高齢者を救うこれから最も有望なビジネスの一つではあるのですが・・・。
移動販売スーパーはビジネスチャンスになるのか?
問題点はないのか?
『買い物難民の救世主! 移動販売スーパー』についてお届けしたいと思います。
増える買い物難民、買い物弱者
・高齢者人口は3461万人、総人口に占める割合は27.3%と共に過去最高
・総人口が27万人減少する一方、高齢者は44万人増加
・5人に1人は70歳以上
これらはどれも総務省が発表したデータで、行政評価局の『買物弱者対策に関する実態調査』によりますと、買い物難民は、全国に700万人いるそうです。
資料:総務省行政評価局 『買物弱者対策に関する実態調査 結果報告書』より
http://www.soumu.go.jp/main_content/000496982.pdf
農林水産省の方でも、食料品アクセス困難人口というものを発表しています。
「2015年における食料品アクセス困難人口は、全国で825万人と推計され、全65歳以上人口の24.6%であった。2005年との比較では全国で21.6%増加、このうち三大都市圏では44.1%、地方圏は7.4%それぞれ増加している。」
ちなみに食料品アクセス困難者とは、
「店舗(生鮮食料品小売業、百貨店、総合スーパー、食料品スーパー及びコンビニエンスストア)まで直線距離で500m以上、かつ、65歳以上で自動車を利用できない人をいいます。
農林水産省『食料品アクセス困難人口の推計結果の公表及び推計結果説明会の開催について』より
http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo01/180608.html
国や地方自治体も、買い物弱者支援関連制度等を設け支援などを始めていますが・・・。
これは一見、地方だけの話に聞こえますが、都市部においても、病気や足腰が弱り、日常の買い物に支障をきたしている高齢者が多くおり、全国的な問題になっています。
買い物難民の救世主『移動販売スーパー』
このような状況の中、今後移動販売のスーパーの存在が欠かせなくなってくるでしょう。
ちなみに移動販売スーパーとは、生活に必要な品物、主に食品、日用品等を仕入れて、移動販売車に乗せて、公園などで販売するケースと、直接お客様のお家までお届けするビジネスです。
その為、買い物に出られない買い物難民を救う事ができる、今後伸びると思われるビジネスです。
移動販売スーパーの課題1 商品の品揃え
しかしながら問題もあります。
昔から、移動販売の八百屋さんや、納豆屋さんがありましたが、移動販売のスーパーとなると品揃え、商品の仕入れで、何をどこまで揃えるかが課題になってきます。
生活の基本となる食材、生鮮食品等の冷蔵品や冷凍食品、乾物、調味料、レトルト食品・・・。
衣料品をリクエストされることもあるでしょう。
個人で複数の仕入れ先と提携することはできなくはありませんが、大変ですし、少量仕入れになると値が高くなってしまいます。
また設備も必要になり、冷蔵品を揃えるなら冷蔵ショーケースと、冷凍品を揃えるなら冷凍ストッカー。
冷凍品ならば賞味期限に余裕がありますが、冷蔵品になると賞味期限が短く在庫管理の問題もあります。
コンビニをギュッと凝縮したような形態にするのか?昔ながらの八百屋さんに近い感じにするのか?
どちらにしても、自身で在庫を抱え管理しなければいけません。
ちなみにコンビニの店頭に並べられた商品は約2500種類ほどで、データ管理で「売れ筋商品」のみが厳選され、1年で7割の商品が入れ替わるといわれています。
コンビニの商品を参考にしつつ、地域に合わせた商品揃えにすると良いでしょう。
移動販売スーバーを運営する中には既存のスーパーと契約を結び販売している業者もあります。ですが、その場合フランチャイズがほとんどなので、さらに利益が下がります。
移動販売スーパーの課題2 提供方法
何をどこまでするかという課題もあります。
商品を玄関先まで届けるか?
それとも公園等で販売するのか? 公園等での販売になりますと、天候に左右されがちです。
今でも、ネットスーパーがありますが、高齢者の方がパソコン、スマートフォンを使いこなすことができるか?というと、厳しい現状です。生協さん等もありますが、注文してからのタイムラグがあり、「今、欲しい」に応えられていない状況です。
移動販売のスーパーは、ここの隙間に応えていかなければなりません。
移動販売スーパーの課題3 利益の出し方
移動販売スーパーの維持には採算性も課題になっています。移動販売や宅配はコストがかかり、利益の薄い業態だけに、どう利益を出していくかが大きな課題です。
移動販売スーパーはボランティアではありません。ビジネスとして考えると、やはり利益を出していかなければなりません。
仕入れ品を絞り大量購入で値を下げてもらったり、量販店で仕入れ売る方法もありますが、『とくし丸』さんが一つの参考になると思います。
とくし丸さんは2012年に徳島に地域密着型の移動販売スーパーとして開業、以来急成長し全国に広がっています。
その特徴として、地域のスーパーと提携し、そのスーパーで販売している商品を運ぶことでコストを削減しています。そして、1つの商品をお客様の玄関先まで届ける代金として、一律10円分を値上げする「プラス10円ルール」を導入しています。
移動販売スーパーに大手も参入
移動販売スーパーには、大手スーパー、コンビニも参戦してきています。流通大手のイオンさんも一部地域で移動販売に取り組んでいますし、セブンイレブンさんも都心の買い物難民に向けて移動販売スーパー(コンビニ)を展開しています。
移動販売スーパーの勝ち残り戦略
今後伸びると思われるビジネスだけに、フランチャイズ、大手も参入してきていますが、明確な「答え」は出ていません。
ビジネスの基本で考えると、最初は、人がいる場所を選び、商品を絞り込んでいき、効率化を図っていくのが良いのではないでしょうか?
リアル店舗と違い、移動販売は場所を移動できます。高齢化が進んでいる都心の団地などを出店場所として探していきます。
地域に合わせ、最大公約数を狙いお客様を囲い込んでいき、一定のお客様が常連となったら、御用聞きになってプラスアルファ商品をお届けしても良いかもしれません。
移動販売は江戸時代にも「棒手振り」という名前であったそうです。
対面販売をやる以上、人情味あふれる挨拶はもちろん常連さんの顔や名前や好みを覚えたりしながら、明るく元気で感じの良い接客をしていけば、あなたの常連さんも増えていくでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は『買い物難民の救世主! 移動販売スーパー』についてお届けしました。
将来的に有望な分野だと思うのですが、課題もあります。
移動販売スーパーは、買い物難民、買い物弱者の救世主でもあり、あなたにやりがいを与えてくれるビジネスで意義がある仕事ではありますが、ボランティアではありません。
ビジネスである以上、利益を上げて行かなければあなたにとっても苦しくなってしまいます。
商品数が多くなると管理も大変になります。上手くバランスを取りながら、お客様もあなたもWINになる商売をしてください。