1. 移動販売(キッチンカー)とは
移動販売は常設の小売店舗を設けず、移動販売車(キッチンカー)に商品を積載して、移動しながら商品を販売する無店舗販売の方法のことです。
街中やイベント、大きな駐車場のあるお店などでよく見かけますよね。
これから飲食店を開業しようと考えている方の中には移動販売車(キッチンカー)での開業も選択肢に入れている方も多いのではないでしょうか?
移動販売は店舗がない分、店舗の賃料や人件費などが抑えられるため少ない資金で開業することができます。
また、どこでも販売が可能なため、お客さんが集まる場所での営業が可能です。時間帯や時期、イベントなどに合わせて移動できるのでビジネスチャンスを逃しません。
しかし、少ない資金でも大切なお金を投資することには変わらないですし、よく見かけるということはライバルも多いということです。
情報をしっかりと集めて事前準備を綿密にすることが大切です。
2. 移動販売(キッチンカー)で開業するには
移動販売車(キッチンカー)での開業はどうすればよいのか?
ここでは大まかな開業の流れをご紹介します。
基本的には何かを製作したい時の手順と同じです。
完成品をイメージする→必要なものを準備する→製作する
これを基に実行していきましょう。
2-1 移動販売で何を販売するか考える
移動販売で何を販売したいのか?メニューを考えましょう。
そうすればターゲット層が見えてきます。
ターゲット層が見えてくれば、自ずとターゲット層が集まりやすい場所も明確になります。
すると、その場所や顧客層に見合った移動販売車のラッピングやのぼり、看板なども見えてきます。
2-2 移動販売車を製作する計画を立てて、実行する
移動販売をするためには車の設備を整えるための改造をしなければなりません。
車を購入したのち、移動販売車(キッチンカー)として製作します。
2-3 移動販売の開業に必要な資格や許可をとる
移動販売車(キッチンカー)での開業をする際、その地域の保健所から営業許可をもらう必要があります。
営業許可申請の際には「食品衛生責任者の資格」と「移動販売で使用する車の申請」が必要です。
調理師や栄養士の資格がない方は、事前に保健所が実施する講習会を受講しましょう。
1日、時間にして6時間程の講習を受ければ取得できます。
保健所の担当者が立会い、「移動販売」で使用する車両設備の検査がありますから、申請の前に移動販売車を準備しておくことが重要です。
2-4 営業場所をある程度絞る
移動販売のメニューやターゲット層が絞られたことで、どこに出店すれば収益が上がるかが見えてきたら、それぞれの地域に営業許可の申請が必要の場合があるので、注意が必要です。
例えば道路で営業する場合は、その道路を管轄する警察署長に道路使用許可の申請をします。
「移動販売」の場合、「3号許可」といって、必要な手数料は約2千円です。
また、公園で営業をする場合、公園を管轄する地方公共団体や国土交通省に営業に関する申請をします。
道路や公園での営業許可を獲得するのは厳しいのが現状で、定休日の店先を借りたり、駐車場を借りたりすることの方が容易です。
2-5 開業届を出して営業をスタートさせよう
ここまでくれば、開業するのみです。
開業届を管轄の税務署に提出しましょう。
しかし、開業するのが目的ではありません。
むしろスタート地点に立ったということです。
結婚式のスピーチでよく聞くような言葉ですが、事実です。
収益を継続してあげられるように、開業後もよりよい改善に努めながら営業していきましょう。
3. 移動販売車(キッチンカー)のたこ焼き屋さんの収益
3-1 移動販売車(キッチンカー)のたこ焼き屋さんの開業資金
実際に移動販売(キッチンカー)で開業するにはいったいどれくらいの資金が必要なのでしょうか。
どこにお金を使うかによってだいぶ差が出るようですが、だいたい100~500万円程度が相場のようです。
内訳をみていきましょう。
車両および改造・製作費
車両本体、キッチン部分改造費、塗装、照明設備、取り付け作業など。
調理用具・備品費用
たこ焼き器といったメインの調理器具から、レードル、ホイッパーなどの細々とした調理道具。
商品の試作費
販売する商品(メニュー)を作るためのレシピ開発にかかる費用。各種材料の比較選定のための費用。
広告宣伝費
宣伝を始めるためのチラシやショップカード製作費。
店頭ののぼり、看板の費用。ネットを使った宣伝のための費用(ホームページやブログ開設費用など。)
開業前に発生した支払い(もちろん事業のための支払いに限る)は、初期費用として確定申告で経費にできるます。
開業前に支払った費用のレシートは、とにかく全部保管しておいてください。
開業届提出の1年前くらいまでの費用が対象になります。
詳しくは最寄りの税務署でご確認ください。
また、さらに低資金で開業資金で移動販売をする方法があります。
移動販売車(キッチンカー)をレンタルするという方法です。
材料さえあればすぐに営業ができ、1日3~5万円ほどで利用できます。
お試しとして利用するのもいいですし、土日のピンポイント営業や、イベントのみの営業などに利用するのもよいかと思います。
3-2 移動販売車(キッチンカー)のたこ焼き屋さんの収益
移動販売(キッチンカー)のたこ焼き屋さんの収益はいったいどれくらいになるのでしょうか。
移動販売車オーナーの平均月収は58.3万円で年収は約700万円です!
もちろん月商ではなく月収です。
移動販売車(キッチンカー)のたこ焼き屋さんの場合はいったいどうなのでしょうか。
有名店や繁盛している屋台のたこやき屋だと1日に最低でも100~200パックは売れます。
個人店のたこ焼き屋で言えば月商60~80万円程度が一般的なようです。
移動販売においても、営業に見合った場所と時間帯が確保できれば、ほぼ同様のことが言えるでしょう。
3-3 移動販売車(キッチンカー)のたこ焼き屋さんが稼げる理由
たこ焼きの原価率ですが大体原価が130~150円くらいで販売価格が400〜450円ほどです。
たこ焼きは、余計な食材を使わないので原価が非常に低く、そのぶん大きな利益が出ます。
また、たこ焼きは老若男女に好まれます。
ターゲット層を絞る必要がありません。
もちろん、ターゲット層を絞ることで特徴のあるたこ焼き屋を目指すことも可能です。
さらに、たこ焼きはおやつとしても食事としても食べられるので売れる時間帯を選びません。
一人で食べても、数人でシェアして食べることが可能なので、購入理由は幅広いといえます。
そう、たこ焼き屋は稼げるのです。
4. 移動販売のフランチャイズについて
4-1 フランチャイズとは
フランチャイズとは、フランチャイズに加盟する個人や法人が、フランチャイズ本部から、お店の看板、確立されたサービスや商品を使用する権利をもらい、そのかわりロイヤリティーをフランチャイズ本部に支払うという仕組みです。
未経験でもすぐにビジネスを行うことができる、それがフランチャイズです。
ビジネスを開業・営業するということは、専門的な知識と経験が必要になります。
しかし、フランチャイズに加盟すれば、そのノウハウをすぐに手に入れることができます。
フランチャイズには成功した前例があるため、新規事業に比べて、収益予測が立てやすいという特徴があります。
これにより、銀行などの金融機関からの融資も受けやすくなります。
4-2 フランチャイズのメリットとデメリット
メリット
- 成功例のあるビジネスをいきなり始めることができる
- 本部のブランド力を活用できる
- 継続的な集客支援が受けられる
- 未経験でも"憧れの仕事"で開業できる
- 金融機関からの融資を受けやすい
デメリット
- ロイヤリティを本部に支払う必要がある
- 本部が定めたマニュアルの通りに運営を行う
- 契約終了後も、同業種での出店が禁止されている場合がある。(ノウハウの流出防止のため)
フランチャイズ事業は今や拡大する一方です。
メリットデメリットに関しても各社それぞれの特徴があります。
情報を整理し,それぞれのフランチャイズのメリットデメリットを理解して自分に見合う開業方法を選択しましょう。
5. たこ焼き屋さんの移動販売車(キッチンカー)について
5-1 移動販売車の製作
移動販売を行うために必要不可欠な移動販売車(キッチンカー)を手に入れるにはいくつかの方法があります。
- 新車もしくは中古車を購入して製作してもらう
- 新車もしくは中古車を持ち込んで製作してもらう
- 新車もしくは中古車を購入してDIY製作をする
- 既存の移動販売車(キッチンカー)の新車もしくは中古車を購入する
- 既存の移動販売車(キッチンカー)の新車もしくは中古車をレンタルする
などです。
開業資金の節約を努力することは大切です。しかし、お金をかけるところにかけることを怠ると、開業ののちの営業に大きくかかわってきますから、十分に注意が必要です。
現在、移動販売車(キッチンカー)の製作は製作会社に依頼する場合が主流です。
その場合は、必ず複数社から見積もりを取ってください。
他社を見積もりを比較することで妥当な金額が見えてきますし、交渉もしやすくなります。
やりとりを繰り返したうえで、移動販売車(キッチンカー)を製作すれば、適正価格で移動販売車(キッチンカー)を手に入れることができるということです。
また、その際、必ず自分のイメージを伝えられるようにしてください。
お任せでお願いして開業後苦労するのは自分です。
製作会社との意思交換を綿密に行ってぜひ理想の移動販売車(キッチンカー)を手に入れてください。
5-2 調理設備
移動販売車(キッチンカー)でたこ焼き屋を開業するのに必要な設備についてご紹介します。
たこ焼き器
たこ焼き器はたこ焼き屋の必需品です。
ガス用と電気用があります。
どちらもたこ焼きを焼くには問題はありませんが、ガスの方が火力が強いいので、連続で焼ける、外側がカリッとなるというメリットがあります。
ガス用を選択した場合、ガスボンベの確保と場所の確保を忘れずにしましょう。
さらに、鉄板と銅板の鉄板があります。
違いは熱伝導率です。
銅板の方が鉄板に比べ熱伝導率が高く短い時間で一気に焼き上げることができます。
そのかわり、素早く焼く技術と銅板は熱しやすく冷めやすいので火の管理がが求められます。
近年大阪の繁盛店はこの銅板を使う所が増加しています。
たこ焼き備品
粉つぎ、油引き、千枚通し、ひしゃく、タッパ、寸胴など。ショップによっては一緒に購入できる場合もあります。
店舗備品
のぼりやメニュー、看板、のれんなど。提灯などを飾るのも雰囲気があっておすすめです。
【おすすめ参考サイト】
藤田道具:https://fujitadougu.com/takoyaki/takoyaki.html
飲食店.COM:https://www.inshokuten.com/kitchen/openlist/detail/21
和田厨房道具:https://www.prokitchen.jp/search/list.html?n=2
甲野製作所:https://www.kohno-factory.com/SHOP/578343/list.html
6. 先輩の移動販売(キッチンカー)のたこ焼き屋さん
ここでは、現在営業中の先輩たこ焼き屋さんをご紹介します。
6-1 豊洲金だこ/笑福堂
https://shofukudo.amebaownd.com/
群馬県、埼玉県、栃木県で移動販売を営業されています。夏場の時期は『いちご丸けずり』というコールドメニューも取り扱っています。
6-2 chameleonstore
http://chameleonstore.info/
岡山が拠点ですが、岡山県内以外にも香川 高松 兵庫 姫路 赤穂 広島 福山など県外出店もしています。
たこ焼き以外にもタピオカドリンク、みたらし団子など、カメレオンのように色(メニュー)を変えて提供しています。
6-3 ばくだん焼本舗
http://www.bakudanyakihonpo.co.jp/franchise/
ばくだん焼は、見た目は巨大なたこ焼きです。10種類以上の具材を中に封じ込め、うま味を逃さないよう包み焼きにしています。
フランチャイズで、全国に広がっています。6日間のマンツーマン研修ですぐに習得できるようです。
さいごに
こんなニュースをご存知でしょうか?
大阪城公園内で売店を経営する女性が、2016年までの3年間の所得をまったく申告せず約1億3200万円を脱税していたことが判明。
追徴税額は約1億5000万円に上ると見られており、女性はすでに一部を納付したということですが、年要は2億を超えていたそうです。
自分の納得のできる移動販売(キッチンカー)を手に入れ、自分の納得のできる営業場所を確保してたこ焼き屋を始められることを祈っています。