野外フェスやご当地イベントでは定番になっているのが「丼ぶり」。
今回は、キッチンカーで丼ぶりを売る方法をご紹介いたします!
1. 移動販売(キッチンカー)で丼ぶりが売れる理由
丼ぶりといえば、カツ丼、天丼、親子丼、牛丼など、がっつりメニューが定番ですが、最近では、ご当地メニューの豚丼やしらす丼、ヘルシー系のロコモコ丼やアボカド丼など、種類が豊富にあります。
食べ盛りの男子学生から働き盛りのお父さんまで男性には特に好まれるメニューですよね。
移動販売(キッチンカー)でも丼ぶりをよく見かけるようになりましたが、売れているのは理由があります。
丼ぶりが売れる理由!
・価格が安い
・ご飯とおかずを一緒に食べられる
・お腹の満足感が高い
・注文して受け取るまでの時間が短い
・材料がシンプルで原価が安い
・温めるだけ、のせるだけで提供できる
キッチンカーを利用する人は、おいしさはもちろんですが、それと同じぐらいスピードを求めています。キッチンカーでは、衛生上、車内での「切る・混ぜる」といった調理は禁止されていますが、丼ぶりは、仕込み場所で調理したものをその場で温めるだけですぐに提供できます。
ワンボウルでご飯もおかずも食べられて、お腹を満たしてくれる丼ぶりは、忙しい人や手軽に食事をすませたい人には嬉しいメニューです。
2. 移動販売(キッチンカー)で丼ぶりを販売するための手順
移動販売のための車両(キッチンカー)を用意したら、下記の手続きが必要です。
① メニューを決める
移動販売(キッチンカー)で販売するメニューを決めます。
メニューを決めるときに大切なのは、大前提として「お客様に喜ばれる商品か?」ということです。
その前提があった上で、
・仕入れがしやすいか?
・原価はいくらかかるか?
・利益はいくらぐらい見込めるか?
・調理はしやすいか?
・注文を受けた後、すぐに提供できるか?
このようなこともしっかりと考え、シュミレーションをしておくことが大切です。
ただし、原価を抑え、利益を上げることにばかり注力してしまうと、一番大切な「お客様に喜ばれる商品を提供する」ということが疎かになる恐れがあります。
「お客様に喜んでもらえること」と「利益を出すこと」の両方をバランスよく叶える価格設定をし、コツコツと売上を作っていくようにしましょう。
また、メニューが決まったら実際に作ってみて、周りの人たちに試食してもらってフィードバックをもらいましょう。試食は10人以上にしてもらうのが理想です。プロモーションの一環として、街の中で試食してもらうのも客観的な声が聞けるのでおすすめです。
② 仕込み場所を準備
店舗を持つ飲食店では、材料を切る・混ぜるといった下準備から調理して提供するまで、店舗内のキッチンでできますが、移動販売では衛生面からキッチンカー車内での「切る・混ぜる」といった行為が禁止されています。これは、食中毒などを防ぎ、食の安全を守るために義務付けられたものです。
そのため、「切る・混ぜる」といった下準備は、営業許可を取得している別の施設内で行う必要があります。これを「仕込み場所」と呼んでいます。
丼ぶりの場合は、キッチンカーの中で温める、盛り付けるだけの状態まで仕込み場所で具材を調理しておきましょう。
③ 保健所の営業許可を取る
移動販売を始める場合は、必ず保健所で営業許可を取らなければなりません。細かいルールは、各都道府県の保健所によって異なりますが、おおよそ下記の項目を満たしている必要があります。
・調理場(販売スペース)と運転席は区切られているか
・シンクの数、形状、サイズは適切か
・換気はできるようになっているか
・給水タンクと排水タンクが設置されていて容量は十分か
・冷蔵庫(商品によって冷凍庫)は設置されているか
・手洗い石鹸、アルコールスプレー、ゴミ箱は設置されているか
・消化器は設置されているか
・仕込み場所はあるか
また、営業許可を取得するためには、いくつかの書類の提出も必要です。こちらも各都道府県によって異なりますので、直轄の保健所に確認してください。
④ 食品衛生責任者の資格を取る
飲食店と同様に移動販売(キッチンカー)も食品を取り扱う事業なので、食品衛生責任者を1名以上置かなければなりません。
各都道府県の食品衛生協会が開催している「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得できます。
資格に期限はないので、一度資格を取得すれば基本的に更新の必要はありませんが、地域によって講習会受講が義務づけられているところもあるようなので、事前に確認しておくようにしましょう。
3. 移動販売(キッチンカー)で売れる&売りやすい丼ぶりメニュー
移動販売(キッチンカー)で売れる&売りやすいメニューは、味がおいしいことは大前提として、それ以外に下記の要件を満たしているといいと思います。
●注文を受けてすぐに提供できるもの
●材料がシンプルで入手しやすいもの
●原価が安く、ワンコイン程度の安い単価で提供できること
定番メニューだと、カツ丼、牛丼、親子丼など。ご当地メニューの豚丼やすた丼、ブリカツ丼などもよく見かけるようになりました。どのメニューも仕込み場所で具材を調理しておけば、注文を受けて温めてすぐに提供ができるので、移動販売(キッチンカー)でも提供しやすいです。また、お肉や卵、少量の野菜だけのシンプルな材料で丼ぶりが完成するのもポイントが高いです。
しらす丼やアボカド丼、ロコモコ丼は、ヘルシー志向の人たちに定評なので、用意しておくと、女性などがっつりメニューを求める人たちとは異なる層のお客さんを呼び込むことができます。
他にもいろいろ・・・丼ぶりの参考メニュー
・鶏そぼろ丼
・海鮮丼
・ステーキ丼
・ローストビーフ丼
・うな丼
・中華丼
・唐揚げ丼
・焼肉丼
・ビビンバ丼
4. 他店と差別化するためのひと工夫
丼ぶりといえば、育ち盛りの男子学生や体力勝負の仕事をしている男性に好まれるイメージですが、逆に健康や美容を気にする人には敬遠されがちです。
そこで、丼ぶりに一工夫加えると普段は丼ぶりを選ばないような人たちにも手にとってもらいやすくなり、お客さんの層をぐんと広げることができると思います。
◇玄米や雑穀米も選択できるようにする
健康への意識の高まりや糖質オフがブームになり、白米を減らしたり一切やめる人も増えてきています。
そんな時代の背景を踏まえて、丼ぶりのご飯は白米以外にも玄米や雑穀米を選択できるようにすれば、健康や美容を気にしている方にも手にとってもらえる可能性が高くなります。
実は、玄米の糖質量は白米とほぼ変わらないのですが、玄米には糖質を燃やすビタミンや食物繊維が豊富に含まれているので、糖が脂肪に変わるのを防ぎ、腸内環境を整える効果もあります。雑穀米も食物繊維や鉄分、マグネシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。また、腸内環境を整えるスーパー食材として注目されているもち麦を混ぜるのもいいですね。
◇サイドメニューにサラダやスープをプラス
丼ぶりだけの単品メニューは、血糖値をぐんとあげることですぐに満腹感を得られますが、ビタミンやミネラルなどの栄養素は不足しがちです。
そこで、サラダやスープを追加するだけで、足りない栄養素を補うことができ、栄養バランスもよくなります。ビタミン、ミネラルを補える野菜と食物繊維を補えるきのこ類をプラスできるといいですね。スープは、味噌汁でもいいと思います。
オフィスのランチタイムにお弁当を販売しているお店では、お弁当を買うとインスタントの味噌汁をサービスしているところがあります。このちょっとしたサービスで心をぐっと掴まれるものです。
5. 丼ぶりが売れる営業場所
◇フェスや野外イベント
丼ぶりは、フェスや野外イベントでは定番のメニューです。
フェスの出店者募集情報は、フェスのホームページに掲載されています。大きなフェスの場合、応募が殺到して数日で募集を締め切る場合もあるようです。営業許可を取得している地域のフェス情報をいち早くキャッチできるようにマメにチェックしておきたいですね。
また、フェスの規模によって出店料も数千円〜数万円まで幅広いので、売上や利益の見込みを考えた上で応募するようにしましょう。
野外イベントは、マルシェや地域のお祭り、フリーマーケットなどのことです。こういった情報は、「ジモティー」や「軒先新聞」といった地域の情報サイトによく掲載されています。
なお、営業許可を取得していない地域のイベントに出店したい場合は、あらためてイベントが行われる地域の保健所で営業許可を取らなければならないので注意が必要です。
◇ランチタイムのオフィス街
ランチタイムのオフィス街は狙い目です。毎日同じ時間帯に出店できるので、安定した売上を作ることができます。
ただ、多くの会社が集まる大きなビジネス街などは、激戦区なので新規出店が難しい場合があります。もし、先輩キッチンカーで知り合いがいれば聞いてみたり、出店場所を紹介してくれる派遣会社に登録して紹介してもらうといいでしょう。派遣会社への登録は、登録料や仲介料がかかりますが、大きな売上を見込める場合は、その費用がかかっても派遣会社を利用した方が賢明な場合があります。一度相談をしてみるのもいいと思います。
◇企業のイベント
ホームセンターやパチンコ店、家電量販店、住宅展示場など、企業が主催するイベントに出店する方法もあります。
日頃からホームページやSNSを使って自分のキッチンカーの情報を発信していれば、企業側から声をかけてもらえることもあります。キッチンカーを始める場合は、ホームページやSNSもあわせて準備しましょう。
6. 先輩キッチンカーの紹介
丼ぶりの移動販売(キッチンカー)で成功している先輩キッチンカーを2軒ご紹介いたします。
◇サクラモンスター
日本のB級グルメを広めるために、アメリカのロサンゼルスで生まれたキッチンカーです。
2018年に日本への“逆輸入”という形でオープンしました。
株式会社フェイクスター
代表取締役 山本貴也
住所:東京都豊島区西池袋1-22-8 池袋千歳ビル7F
mail:http://sakumon.tokyo/info.php
HP:http://sakumon.tokyo/about.php
◇野毛山カレー食堂
カレー屋さんが販売する丼ぶり。
定番の親子丼の他、ラタトゥユライス、ガパオご飯、麻婆丼など、多国籍にとんだ丼ぶりメニューを提供しています。キッチンカー事業と合わせてケータリング事業も行っており、著名な企業や撮影現場への実績も多くあります。
住所:東京都狛江市
TEL:070-6562-2524
mail:mail@ncs.am
HP:http://www.ncs.am/curry_don.html
まとめ
キッチンカーで丼ぶりを売る方法についてイメージが湧いたでしょうか?
丼ぶりを販売する場合は、定番以外の丼ぶりメニューを提供したり、お米やサイドメニューを工夫するなど、+αの価値を提供することが他店との差別化を図るポイントです。そして、その情報を自ら発信していくことも大切です。
“あなたのキッチンカーだけの価値”はどんなことですか?