移動販売車の製作や購入を考えていて、製作会社に依頼するか自作(DIY)するかを悩んでいる方も少なくないと思います。
自作(DIY)は自分のイメージに近いものが作れますし、何より愛着が湧きますよね。時間に余裕があればコストも抑えることができるので、魅力的な方法だと思います。
しかし、事前に注意するポイントを押さえてから自作を始めないと、時間もコストも余計にかかってしまい、途中で投げ出してしまうなんてことにも。。。
そんなことにならないよう、今回は移動販売車を自作(DIY)する時に注意するポイント8つを紹介したいと思います。
1、移動販売車を自作(DIY)する前に車検の基準を確認
車検とは、自動車が安全に運行できるか確認するために検査を行い、所有者を登録する制度のことです。
自動車は、この車検を一定期間ごとに受けなければいけません。
もちろん移動販売車もその例外ではありません。
移動販売車は、一般車とは違い改造している場合がほとんどです。
特に調理設備などを設置する場合は大掛かりな車内の改造が必要になり、下記のような点に注意が必要です。
1−1、移動販売車の8ナンバーを取得する手もアリ
自動車のナンバーには分類番号というものがあります。
分類番号とは、自動車の種類や用途などを区分する番号のことです。
1~3ナンバーは普通車のカテゴリーとなり4~7ナンバーは小型車となります。
9ナンバーは大型特殊車、0ナンバーは機械建設に使用される自動車です。
そして、移動販売車が該当するのは特殊用途自動車のカテゴリーである8ナンバーが多くなります。
なぜ8ナンバーの取得をおすすめしているかというと、それは車検の手間を省くためです。
移動販売車だからといって、必ず8ナンバーを取得しなければならないというわけではありません。普通貨物車(1ナンバー)や小型貨物車(4ナンバー)で移動販売をしている方もいます。
ですがこの1ナンバーや4ナンバーで移動販売をしている車のデメリットは、車内の設備や荷物を一旦全て取り外してから車検を受けなければならないところです。
設備を搭載したままだと、分類番号(ナンバー)と自動車の用途が一致していないため車検に通らないのです。
このような面倒な作業を回避するために、長い目で見て8ナンバーの取得もひとつの手段かと思います。
8ナンバーでの車検の場合は、厨房機材や作業台などを車内に設置し固定した状態で検査を受けることができます。
8ナンバーを取得するには、審査をクリアする必要があります。
- 特殊設備・調理面積が運転席を除くスペースの50%以上あるか
- 運転席部分と調理販売スペースが完全に仕切られているか
など条件があるので、運輸支局や製作会社に一度確認・相談すると良いでしょう。
1−2、車両の構造変更申請
車検で登録している内容に変更が生じるような改造をした場合は、構造変更申請が必要です。
上記の8ナンバーを取得する時にも必要になるのが構造変更申請です。
例えば後部座席のシートを取り外した場合には乗車定員が変わってしまいますよね。
そのような時には構造変更申請が必要になります。
この構造変更申請は管轄の陸運局で行います。
2、車検の次は保健所の許可申請を確認
車検の確認ができたら、次は保健所の許可申請です。
食品を作って販売する場合は、必ず保健所での営業許可が必要になります。
保健所の営業許可は、全国で統一されたチェック項目があるわけではありません。
各都道府県によって、条件はバラバラです。
営業する地域の保健所で許可申請をすることになるので、複数の地域での営業を考えている方は、それぞれの地域ごとで許可申請が必要になります。
移動販売車での営業許可を取る際には主に以下のような点をチェックされます。
- 運転席部分と調理販売スペースが完全に仕切られているか
- 給水・排水タンクの容量
- シンクの数
- 販売部分の有無
- 収納ケースの有無
などです。先ほどの説明の通り、各地域の保健所ごとにチェック項目が違いますので、事前に確認してから準備すると良いでしょう。
3、移動販売車の自作をする時は安全性に注意が必要
これは車検での準備にも通じることですが、安全性には十分な配慮が必要です。
車検を通す時は「自動車が安全に運行できるか」という視点で審査されます。
例えば内張りを剥がすことで突起物が露出し、万が一の事故で怪我を負う可能性がある場合には車検は通らないでしょう。
移動販売の場合、「自動車として安全に運行できるか」とは別に「安全な店舗であるか」という部分にも配慮が必要です。
例えばあなたが自作したテーブルでお客様が怪我をしてしまったらどうしますか?
移動販売は屋外での営業が多いですが、強風で看板が倒れてお客様が怪我をしたらどうしますか?
自作する時は、お客様が使用することなども想定して安全性に配慮して製作する様にしましょう。
屋外での営業もシミュレーションして、設備や備品が風で飛ばないように紐でくくり付けたり、様々な環境に対応できるアイテムも考えておきましょう。
お客様やスタッフの安全を確保するのも仕事のひとつだということを強く意識しておきましょう。
4、衛生面にも最大限の注意を払って移動販売車を製作する
食品を販売する仕事でもっとも注意するべきこととして衛生面の配慮があります。
食中毒の発生や異物混入などを予防して、安全な商品をお客様に提供しなければなりません。
特に移動販売の場合は屋外での営業が多いため、屋内に比べて異物混入などのリスクが高くなります。
清掃しやすいレイアウトや異物混入の危険性のないようなレイアウトを考えることも大切です。
また、シンク、冷蔵庫、収納スペースなどを確保しつつも動きやすい動線を作ることで、事故の確率を低くすることもできます。
販売フローや人の流れ、動線をシミュレーションして、衛生面に万全を期した設備、配置を心がけましょう。
5、清潔感を意識して移動販売車を製作する
小売業で売上を左右する大切な要素のひとつとして、売り場作りがあります。
綺麗で見やすく買いやすい売り場は実際に売上も伸びています。
その中でも、食品販売においてはやはり清潔感が非常に大切です。
いくら自作だからとはいえ、雑な作りは不潔な印象となり、客足も遠のきます。
人気のある店舗は、やはり細かいところまで気を使っており、お客様もそのような気配りはしっかりと見ています。
どれだけ美味しい料理でも、不潔なお店からは買いたくないですよね。
自作だからといって手を抜かずに、細かいところまで作り込むことが重要です。
6、自作で完成させるくらいの覚悟が必要
移動販売車を自作で作ろう!と作り始めたものの、途中で投げ出して製作会社にお願いするなんてことも考えられます。
実は、自作途中の車というのはいくら製作会社とはいえ整備しづらいというのが本音のようです。
自作の段階で、車に致命的な傷を与えてしまっている場合は、いくらプロとはいえ対処が非常に難しいのです。
すべて自作というのが難しそうな場合は、一部分は自作、その他の難しそうな部分は製作会社に依頼するなど、明確に分けて考えるのもひとつの方法です。
7、改造車は手放す時に高く売れないかもしれない
将来的に移動販売が軌道に乗って、もう少し大きい移動販売車に買い替える時が来るかもしれません。
その場合、古い移動販売車を売却しようと考えるのではないでしょうか。
車を売却する際、改造車は基本的には純正品よりも安くなってしまうのが一般的です。
自分好みにカスタマイズしているので、一般的な需要は少なくマイナス査定になることが多いようです。
特に移動販売車の場合は、移動販売を考えている人にしか売れないので、なかなか買い手が見つからないこともあります。
しかし、現在移動販売は人気が出てきていて、実際に事業として始める人も増えています。
販売する商材や使用用途さえ合致すれば、売り手は割と早く見つかるかもしれません。
逆にピンポイントで使用用途が一致すれば、少々高額でも買い取ってくれるかもしれません。
先々のことも考えて、しっかりメンテナンスして綺麗に使用することも大切かもしれませんね。
8、移動販売車を自作する際は事前確認をしっかりと
今回は移動販売車を自作する際の注意点を紹介しました。
製作会社に依頼すれば簡単に引き受けてくれることが多いと思いますが、制作会社への依頼が費用的に厳しかったり、オリジナリティを出すため自作にこだわりたいという方もいると思います。
今はDIYも流行っているので、自作することで魅力的な移動販売車ができる思います。
ただ、自作する場合は様々な確認を自分で行う必要があるので、手間がかなりかかるのは覚悟してください。その分、出来上がった時の喜びは大きくなりますし、移動販売車への愛着は人一倍強いものになるでしょう。
近年、移動販売を始める人も増えているので、自作することは差別化を図り生き残るためのひとつの手段ではないでしょうか。