移動販売をする際、通常の車のままでは販売や調理ができませんよね。
移動販売をするためには、販売スペースや調理機材、水周り、電源の確保など必要な設備を整える必要があります。
このような設備を整えるためには、車の改造が必要不可欠となります。
では実際に、
- 移動販売車の改造はどのようなことをすれば良いのか?
- どこかに依頼はできないのか?といった疑問が出てくると思います。
今回は、移動販売車を改造する方法と費用について説明していきたいと思います。
1.まずは完成イメージを具体的に持つこと
移動販売車を改造する前に必ず行っていただきたいのが、完成した時の移動販売車のイメージを具体的に持っておくことです。
以下のことをあらかじめ決めておくとイメージもしやすくなるでしょう。
- 何を売るのか
- どのように売るのか
- 店のコンセプト
上記のことを決めておくと、まず車のサイズが絞られてきます。
例えば、
- パンの販売なら小型車
- ピザやクレープの販売なら中型車~大型車
- 車内で調理をするならそれなりの大きさと設備
が、必要です。
このように、移動販売の方向性を具体的に決めておくことで、車のサイズや必要な機材や設備が見えてくるので、どのような改造が必要になるのかがわかってきます。
逆にこの方向性がボンヤリしていると、改造してから後戻りできずに後悔することとなってしまいます。
しっかりと作戦を練りましょう。
2.製作会社依頼と自作(DIY)の2パターンに分かれる
移動販売車を改造する方法として、大きく2パターンに分かれるかと思います。
それは
- 制作会社依頼
- 自作(DIY)
という方法です。
それぞれにメリット、デメリットがあるので整理してみましょう。
2-1.制作会社に依頼するメリットとデメリット
【メリット】
- プロによる仕事で、移動販売車制作のノウハウがあり安心できる
- アフターケア、メンテナンスをしてもらえる
- 手間がかからないため、営業や出店場所の開拓に時間を使える
- 車検や保健所の許可申請など考慮して製作してもらえる
- 車の購入から面倒を見てもらえる
【デメリット】
- 自作(DIY)に比べて費用がかかる
- 自分の思い通りに改造しにくい
- パッケージ商品の場合、どれも同じ作りになり個性が出せない
- 好みの車種がない場合がある
2-2.自作(DIY)のメリットとデメリット
【メリット】
- 費用を抑えられる
- 自分の思い通りに改造できる
- 個性的なデザインで製作できる
- 自分で手直しをしやすい
- 愛着が湧いてモチベーションにも繋がる
【デメリット】
- 改造に時間がかかる
- 改造する工具を購入する必要がある
- 車検や保健所の許可条件などを自分で調べて製作する必要がある
- メンテナンスも自分でする必要がある
このようなメリット、デメリットがあげられるかと思います。
どこに照準を合わせるかで「制作会社依頼」が良いのか「自作(DIY)」が良いのかは変わってきます。
自分のスタイルにあった改造方法を選びましょう。
3.移動販売車の改造を製作会社に依頼する
製作会社に移動販売車の改造を依頼する方法の説明ですが、過去の記事で詳しく説明をしていますので参考にしてみてください。
移動販売車の製作会社に依頼する方法
こちらの記事にもありますが、なるべく具体的なイメージを持って相談すると良いでしょう。
もしイメージができない場合は、移動販売車の製作会社にゼロから相談し徐々に詰めていき、具体的にイメージができるようになってから仕様書などにまとめて見積もりをもらうようにしましょう。
4.移動販売車の改造を自作(DIY)で行う
移動販売車の改造を自作(DIY)で行う方法ですが、過去の記事で注意するポイントを紹介していますので参考にしてみてください。
移動販売車を自作(DIY)する時に注意するポイント8つ
注意するポイントの次は、自作(DIY)の大きな流れを確認していきます。
4-1.自作(DIY)の工具を準備する
自作(DIY)するためには以下のような工具が必要です。
- ジグソー
- 電動ドリル
- ドライバドリル
- タッカー
- 圧着工具
- ラチェットレンチ
このような必要な工具は、下記の「移動販売車自作サポート」さんのサイトで詳しく紹介されています。
このサイトは、移動販売車の自作を目指す方向けに必要な機材や材料、製作方法などの情報が掲載されています。
●移動販売車自作サポート
http://idhb.web.fc2.com/jisaku1kg.html
4-2.保健所の営業許可をクリアするための改造を行う
自作(DIY)するための工具が準備できたら、実際に作業を進めていきましょう。
まず保健所での営業許可を取得するための改造を行います。
保健所の営業許可は、全国で統一されたチェック項目があるわけではありません。
各都道府県によって、条件はバラバラです。
営業する地域の保健所で許可申請をすることになるので、複数の地域での営業を考えている方は、それぞれの地域ごとで許可申請が必要になります。
一般的には以下のような点をチェックされます。
- 運転席部分と調理販売スペースが完全に仕切られているか
- 給水・排水タンクの容量
- シンクの数
- 販売部分の有無
- 収納ケースの有無
4-2.電源の確保
次は電源の確保についてです。
「イベント会場で外部から電源を引けるだろう」と考えていると痛い目を見ることも少なくありません。
電源だけに頼らずにガスボンベで熱源を確保したり、ソーラーパネルなどを活用することを考慮してもいいかもしれません。
発電機は騒音や排ガスも気になるので、蓄電池の利用もオススメです。
下記の電源専門店のサイトに、移動販売車の電源としての利用事例も合わせて掲載されています。
1日の使用可能時間の目安も計算でき、とてもわかりやすいです。
4-3.水道設備の設置
各自治体の保健所によって基準は様々ですが、一般的には給水タンクとそれと同等の容量の排水タンクを設置する必要があります。
東京都福祉保健局のサイトを掲載しておきますので、参考にしてみてください。
●東京都福祉保健局(自動車での営業)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kyoka/kyoka_4.html
4-4.換気扇の設置
換気扇は保健所の営業許可申請に必要な設備でもありますが、調理をする食品営業では必需品となります。
下記のキャンピングカーのパーツ販売サイト「株式会社ロータス」さんで、換気扇単品を取り扱っているので参考にしてみて下さい。
●株式会社ロータス(ベンチレーター)
http://www.rotas.co.jp/rotas/sw1.php?tab=4th&cd=130&upper_cd=13&level=3&tp=1&car=0&dic=0&pi=1
4-5.収納設備の設置
収納設備の設置も保健所の営業許可を得るために必要です。
業務用の棚や冷蔵庫で収納するのも良いのですが、アウトドアグッズを活用するのもオススメです。
最近では高機能なアウトドアグッズが増えており、オシャレなデザインのものも多く、店舗としての見た目にも一役買ってくれます。
アウトドアグッズはインドアでも十分使用できますし、アクセントとして使ってみるのはいかがでしょうか。
CAMP HACK(キャンプで映える収納ボックスまとめ)
http://camphack.nap-camp.com/437
4-6.調理機材の設置
食品を調理する機材は主に下記のようなものがあります。
- ガスコンロ
- ガスボンベ
- カセットコンロ
- コンロ用風よけスクリーン
- 調理台
- 冷蔵庫
このあたりの調理機材は改造というよりは内装が完成したら、別途設置していくという流れになるかと思います。
5.荷台用シェルを購入して自作(DIY)する
荷台用シェルのみを購入して内装を自作(DIY)する方法もあります。
軽トラックを自分で用意して、荷台にシェルを載せるだけです。
あとはシェルの中に必要な機材を設置するだけです。
このメリットは、シェルを降ろして軽トラックとして車検を受けられるところです。
6.移動販売車の改造にかかる費用
6-1、自作(DIY)の場合
製作費用を抑えたいという方は自作(DIY)する方が多いようです。
では、自作(DIY)で移動販売車を改造した場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
今回紹介した内容で改造を進めた場合のざっくりとした費用を算出してみました。
- 自作(DIY)用工具 約20,000円
- 電源(パワーインバーター+リチウムイオンバッテリーセット) 約300,000円
- 水道、シンク関連 約55,000円
- 換気扇 約3,000円
- 収納関連 約10,000円
- 自作(DIY)の棚や調理台など 約20,000円
- 調理機材 約80,000円
- 冷蔵庫 約30,000円
合計 約518,000円
移動販売用の車両がすでに準備できているという前提です。
もし車が無い場合は、車の購入費用も別途かかります。
電源は今回パワーインバーター+リチウムイオンバッテリーセットで計算しましたが、発電機などに置き換えることで約150,000円くらいは下がりそうです。
あくまでざっくりとした計算なので、削れるところは削れると思います。あくまでも参考程度の金額としてみてください。
6-2、製作会社に依頼した場合
車の大きさによるところはありますが、移動販売車の製作費用はだいたいの相場は下記のようになっています。
- 軽バンタイプ(ベース車+内装設備) 約2,500,000円前後
- 軽バンタイプ(車両持ち込み、内装設備のみ) 約1,600,000円前後
- 大型バンタイプ(ベース車+内装設備) 約5,000,000円前後
オーナーさんごとに扱う商材が違うので、使用用途にあった改造をする必要があります。
製作会社に依頼する場合は、細かい仕様を詰めて、数社で見積もりを取ることをオススメします。
7.移動販売車の改造におすすめの車両
移動販売車として改造にオススメの車両を紹介していきたいと思います。
- 軽バン
- 軽トラック
- タウンエース
- クイックデリバリー
- 普通車トラック
- 大型バン
上記のような車両が現在の移動販売車の主流です。
どの車両も、
- 荷台部分にスペースを作り改造するか
- トラックの場合は荷台にシェルを載せるようなスタイル
のどちらかとなります。
8.まとめ
今回は移動販売車を改造する方法と費用について説明していきました。
製作会社に依頼する方法と自作(DIY)する方法があり、メリット・デメリットについてもあげていきました。
最近は移動販売を始める方が増えているので、アイディアがあれば早く形にするスピード感も大切かと思います。
早く移動販売車を完成させる場合は、保健所の許可項目などを熟知している製作会社に依頼した方が早いかもしれませんね。
しかし、自作(DIY)した個性的な移動販売車はとても魅力的に写るので、集客にも繋がります。
何を基準に考えるかで、製作会社に依頼するか自作(DIY)するかは変わってきます。
やるからにはこだわったお店に仕上げて、人気店を目指して頑張りたいですね。