移動販売車にとっての内装は、取扱商材と同じくらい店舗で重要となる部分です。
通常の食品店舗でいうところの厨房であり接客スペースでもあります。
大切な部分のため、どういう風に決めていけば良いのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今回は、この核となる部分を決めていくポイントを紹介していきたいと思います。
1.基本的な内装について
1-1.床
床は全体の印象につながる部分です。また、清掃しやすい床であることも重要です。
自作(DIY)する場合、床を敷く前に断熱材を敷くのを忘れないでください。
夏の車内の暑さは危険です。
1-2.天井
天井にも断熱材を使用することをオススメします。
また、保健所のチェック項目に換気扇の設置も含まれるので、天井もしくは壁に設置するようにしてください。
1-3.壁
壁も天井と同様に断熱材を使用することと、換気扇の設置を忘れないでください。
次の項目でもある窓を増設することも想定されます。
1-4.窓
窓はお客さんとの接点になる部分です。適度に窓がある車の方が開放的な印象を与えることができます。
また、接客スペースに跳ね上げ窓を設置することで屋根代わりとなり、雨の日に効果を発揮します。
2.保健所のチェック項目をクリアできる内装にする
食品を販売する場合は、必ず保健所での営業許可が必要になります。
保健所の営業許可は、全国で統一されたチェック項目があるわけではありません。
各都道府県によって、条件はバラバラです。
営業する地域の保健所で許可申請をすることになるので、複数の地域での営業を考えている方は、それぞれの地域ごとで許可申請が必要になります。
移動販売車での営業許可を取る際には主に以下のような点をチェックされます。
- 運転席部分と調理販売スペースが完全に仕切られているか
- 給水・排水タンクの容量
- シンクの数
- 販売部分の有無
- 収納ケースの有無
- 換気扇の有無
などです。先ほどの説明の通り、各地域の保健所ごとにチェック項目が違いますので、事前に確認してから内装の準備をしましょう。
3.装飾系の内装で雰囲気を作る
保健所の営業許可が取れる内装が準備できたら、内装に装飾を加えて雰囲気を作るのも店を魅力的に見せる方法です。
簡単にできるのが照明の設置です。
最近はLEDロープライトなど、手軽に設置できて雰囲気も変わる照明もあるので試しに導入してみるのも良いかもしれません。
「KBook」 ボール イルミネーション LED
店の前には看板や黒板を置いてアピールするのも良いのではないでしょうか。
(A型黒板)マーカースタンド(黒板)両面 木 磁石が使える (W490mmxH820mm(小))
取り扱う商材によって必要な機材は変わってきます。
人気商材を例に必要な機材をまとめてみました。
4-1.パン
移動販売で焼きたてのパンを提供する場合、発酵機があると便利です。
主に下記のような機材が必要になります。
- 発酵機
- オーブン
- 冷蔵庫
- 作業台
- ミキサー
4-2.たこ焼き
たこ焼き販売での見せ場は、やはりクルクルと回しながら焼くシーンですよね。
機材だけで言えば、とりあえずは業務用のたこ焼き機があれば、販売はできそうです。
- たこ焼き機
- 冷蔵庫
- 作業台
4-3.クレープ
クレープ屋さんは大きな丸い鉄板のクレープ焼き機が必要ですね。
小物でいうと、トッピングを分けておくトレイなども必需品です、
- 専用フライパン
- 冷蔵庫
- 作業台
4-4.コーヒー
コーヒーマシンやエスプレッソマシンがあると一気にコーヒー屋の雰囲気が出ますよね。
ハンドドリップなどにこだわる場合は、作業台にも気を使った方が良いですね。
- コーヒーマシン
- エスプレッソマシン
- 冷蔵庫
- 作業台
4-5.調理販売か出来合いの物を販売するかで機材の量が変わる
その場で調理する食品は新鮮さも出て、お客さんとしては購買意欲も上がります。
その分、機材の量は増えます。
調理用機材、食材保管用の冷蔵庫、調理スペース用作業台などです。
一方、出来合いの食品を販売する場合は調理の必要がないので、機材はかなり減ります。
保管用の冷蔵庫や作業台くらいでしょうか。
5.販売時スタッフの人数を考慮した内装にする
移動販売の場合、車内のスペースには限りがあります。
その中に作業台やガスコンロなどの機材を設置していきます。
商材によっては1人が調理、1人が接客、1人が仕込みなど、複数のスタッフが必要な場合もあります。
その場合は、人の動くスペースも考慮して内装を考えなければなりません。
場合によっては、車の規模から考え直す必要も出てくるかもしれませんね。
販売する商材で必要な人数も変わるので、人数に応じたスペースを作る必要があります。
6.安全性、動きやすさ、動線、収納をシミュレーションしておく
食品販売で注意することのひとつに異物混入があります。
例えば作業スペースが煩雑になっていて異物が混入してしまったり、スタッフ同士がぶつかった拍子に異物が混入してしまうケースなど、様々なリスクを考えておかなければいけません。
調理するスペースの近くに冷蔵庫やシンクがあったり、接客スペースには備品の収納があったりと、動きをシミュレーションして内装を配置していきましょう。
この動きに合わせた配置をしておかないと動線が確保できずに動きづらくなり、効率が悪くなります。そして異物混入などの事故を招くリスクがアップしてしまいます。
7.接客スペースを重要視するかどうかを決める
お客さんと接する商品受け渡しスペースやカウンターテーブルの設置は内装を決める時の大切なポイントとなります。
このスペースでお客さんとコミュニケーションを取ってリピーターに繋げるのか、逆に接客に時間をかけずに回転率を重視する戦略を取るのか。どちらが正解というわけではなく、どちらにもメリットはあります。
店のコンセプトに沿った設備・内装を考えるようにしましょう。
商品受け渡しスペースには、冒頭の基本的な内装の項目で説明した跳ね上げ屋根を付けるという方法も主流となっています。
また、簡易カウンターを設置したり、テラス用テーブルを外に置いたりするスタイルも良く見かけます。
8.調理の様子をパフォーマンスとして見せるか
たこ焼き屋さんのクルクルと焼いている姿に目を奪われたことがある方も少なくないと思います。
あのようなパフォーマンスを見せれる設計にするかという所も大切です。
調理スペースに窓を付けて外から調理風景を見れるようにすると、パフォーマンスとしてお客さんを惹きつけることができますし、キッチンを公開することで安心感を与えることもできます。
順番待ちが発生した時も、並びながら調理風景を見せれるので、飽きずに並んでくれるかもしれません。
窓の設置、配置も事前に考えておきましょう。
9.デザインや内装はインスタグラムを参考にするのもアリ
Van(バン)に必要なものや趣味の道具を積み、旅をしながら生活をする「Van Life」というライフスタイルが世界的に社会ムーブメントとなっています。
自分の車の内装を過ごしやすく改造して、インスタグラムでその生活風景をアップしている人も多いです。
移動販売車の内装を考える上でヒントになる部分が多いと思います。
インスタグラムのアカウントをいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
https://www.instagram.com/p/BaUY-QsAl9N/?taken-by=project.vanlife
10.オリジナリティを出して差別化を図る
増えていく移動販売の中で、他社との差別化は今後必要になるでしょう。
扱う商材はもちろんですが、内装に関しても目を引くようなオリジナリティ溢れる店舗を目指し、他の店舗と差をつけていきたいですね。
内装で迷った場合は、一度製作会社に相談するのもひとつの手段です。
例えば、保健所の許可申請の範囲までは製作会社に依頼して、残りは自作(DIY)する方法もあります。
個性的な移動販売車が生まれるように、内装にも十分気をつかってくださいね。